ダメな私に最後のモテ期は来るのか
夢見る少女の話をしましょう。
むか~しむかし,私は少女漫画ジャンキーでした。
ときめきトゥナイト,ふしぎ遊戯,なんて素敵にジャパネスク,天は赤い河のほとり...
どれも主人公がひたすらモテる話でした。
そういうものを酸素と一緒に吸い込むようにして読んでいると,当然夢見がちな少女に成長してしまいます。
大きくなったら,私にもこんな素敵な彼氏ができるのだろうか。妄想は膨らみます。
今はブスだし根暗だし男子ともうまく話せないけど,きっと中学生になったら...高校生になったら...大学生になったら...。
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しかし,現実とはうまくいかないものだ。
大学生になったところで,顔も性格も急に良くなったりはしない。
そして何より,絶望的な恋愛経験値不足による挙動不審および猪突猛進型のアプローチスタイルによって,意中の人にも周りにもドン引きされ(一部の友人にはエンターテイメントとして消費され),20歳までの恋愛は完全に黒歴史となった。
どうすれば愛されるのか。どうすれば可愛いと思ってもらえるのか。
そんな風にトチ狂ってるのは私だけではなく,仲間内でも「私たちの何がいけないのか」と慰めあったり,「愛される女になるために」的な自己啓発本がグループ内を行き交ったり,まあみんな何かと発情していた。
大学受験で押さえつけられていた欲望が爆発していたのだろう。何とも健全な話だ。
そんな頃,仲間内で「ブリジット・ジョーンズの日記」を鑑賞した。
「とにかく面白いから観て!」と言って勧めてきたのは,人一倍恋愛に積極的だったAちゃんだ(愛され本の出所は大抵彼女だった)。
有名な映画だから説明するまでもないかもしれないが,ぽっちゃりめの30代独身女性が,2人の正反対なイケメンの間で揺れ動くラブコメだ。
主人公のブリジットは小太りでドジだけど,放っておけない可愛さがある。
スタイル抜群の美人じゃなくても,モテることもあるのね!!
単純な私たちは,フィクション相手に安易な希望を持った。
そして,選ぶならお堅いコリン・ファースよりも断然プレイボーイなヒュー・グラントだよね!と盛り上がった。
時は流れ,2016年秋。私たちは,当時のブリジットと同じ歳になった。
Aちゃんは大学卒業後すぐに結婚し,専業主婦となって2人の子どものママだ。
かたや私は未婚のプロ(ⓒジェーン・スー女史)予備軍ライフを謳歌している。
ブリジットはもう40代。そんな彼女に最後のモテ期が来るというので,その様子を見届けに行ってきた。
花金のレイトショーに一人で,アルコール片手に映画鑑賞。独身アラサーの鏡である。
(注:以下ネタばれあり!!)
ブリジット,まさかの妊娠。しかも父親が誰なのか分からない!
音楽フェスで一夜をともにしたアメリカの企業家か,元彼のコリン・ファースか。
またも揺れ動くブリジット,そして牽制しあう男2人...
この映画を観て,自分自身の経年変化を感じた点が2つある。
その1:断然コリン・ファース派になった。
口のうまさよりも誠実さがほしいお年頃なのである。
堅実で不器用で理屈っぽくてネガティブ,だけど誠実。なんて素敵なの!!
多分,いま1作目を観たらヒュー・グラントよりもコリン・ファースを選びそうだな。
その2:結婚=ハッピーエンドとは思えない。
正直,このご時世に結婚式エンドは時代遅れでは?と思った。
アナ雪やマッドマックスであんなに見事に恋愛以外の関係性を見せてもらってしまったので,恋愛結婚っていう超フツーーーの結末を見せられてもな...。
あのままどちらとも一緒にならず,仕事を頑張り,シングルマザーとして生きていく方が好みだった。
この10年あまりで私の結婚観と人生観がトリプルアクセルをかましてしまったせいもある。いや,正直それがでかい。
(ネタばれここまで)
さて,ブリジットには何度も来たモテ期であるが,同じくぽっちゃりで要領の悪い私には結局来ずじまいであった(いや,まだ終わってはないか)。
それでも今は,男に愛されるよりも,早く自立した「何者」かになりたいなと思う次第だ*1
まあでもぶっちゃけ,両方手に入れるのが一番いいですけどね。
*1:下手な伏線。そのうち「何者」についてのレビューを書きたい。絶対書く。